かつてのバンド仲間が集まった大晦日の夜。
恋と音楽に酔った青春の日々が静かに蘇える。
 
大晦日の夜、江原道(カンウォンド)の森。
山荘のカフェ・マジシャンズで2人の男ジェソンとミョンスが酒を酌み交わしながら、音楽に熱を上げてきらめいた“あの頃”の話で盛り上げっている。ギターをもった女ジャウンもそこに現れているが、彼らたちには見えない。
ジェソンとミョンスは、高校時代からの親友でバンド<マジシャンズ>のメンバー。3年前に仲間のジャウンが自殺したことでバンドは解散していた。男たちはもう一人のメンバー、ハヨンの到着を待っている。
 
・・・現在から過去へ・・・
カフェの2階には、3年前恋人同士だったジェソンとジャウンがいる。ジェソンは自由奔放なジャウンを心の底から愛していたが、ドラッグを止められない彼女に怒りをぶつける。
 
ひとりのお坊さんが店を訪ねてきて、3年前に預けたスノーボードを返してほしいという。ジェソンが探しに行っている間、お坊さんはミョンスに選手時代の思い出を語る。ミョンスはお坊さんとの話の中で、ハヨンへの愛がまだ消えていないことを指摘されて動揺する。
 
・・・現在から過去へ・・・
夜の森に、3年前のミョンスと愛するハヨンがいる。ハヨンは親友ジャウンの死を救えなかったことに責任を感じ、歌えないと言い出す。レコーディングを控え、口論になる2人。
 
旅行で訪れた森に恋人同士だった頃のジェソンとジャウンがいる。ジャウンは自殺をほのめかすような発言をし、ジェソンを困らせる。
 
部屋の窓辺に落ち着かない様子のジャウンは、ハヨンに電話して一緒にいてほしいと懇願する。しかしハヨンは声の調子が悪いと断る。寂しさに耐えられないジャウンはベランダから飛び降りてしまう。
 
ハヨンがようやくカフェに到着する。お坊さんは3人の思いを知り、ジャウンの命日の儀式を執り行う。久しぶりに再会したミョンスとハヨン。ミョンスは姉を頼ってアルゼンチンへ移民することを告げ、ハヨンに自分の作曲した“Sylvia”を歌ってほしいと願う。しかしハヨンはジャウンを思い出し、心が痛んで歌えないと断る。
 
ジェソンとミョンスは屋外に出る。ジェソンはジャウンへの想いを、ミョンスはハヨンへの想いを大声で叫び、3年間の苦しみを吹っ切る。その時、ハヨンが一緒に演奏しようと2人に声をかける・・・。
 
たった1人の観客のお坊さんを前に、ドラマーのジェソン、ボーカルのハヨン、キーボード&ベースのミョンスが“Sylvia”を演奏し始める。3人を見守っていたギターのジャウンも加わり、“あの頃”の魔法の瞬間が蘇える。
―もう、あの頃に帰れないことを知っている3人の表情はとても穏やかに映り・・・